目次
1.0 MA用ニアフィールドオーディオ要件
ラウドネス平均値はダイアログベースで-27 LKFS +/- 2 LUであること。ピークは-2dbトゥルーピークを超えないこと。オーディオはITU-R BS.1770-1ガイドラインに従ってプログラム全体を計測すること。
以下の2点の例外を除き、標準、もしくはRF64 ディスクリート LPCM .wav 又は .bwav ファイルが必要:
- ソースがIMF、Quicktime、Atmos BWAV ADM納品などのソースに内包されるマルチチャンネル(インターリーブ)ファイルである場合
- Backlotに納品されたローカライズミックス(吹き替えミックス)の.wavが.movにラッピングされている場合
コンテンツハブへの納品はフォルダ、もしくはセッションデータを含むPro Toolsセッションフォルダ内に収められたディスクリートの音声ファイルのみであること。Pro Toolsセッション以外を納品する場合は、AAF/OMFを必ず含むか、すべてのチャンネルが連続したPCMオーディオとしてレンダリングされていること。
可逆/非可逆圧縮されたオーディオは受け付け不可。オーディオは必ずリニアPCMであること。
サンプルレート及びビット深度:
オリジナル言語ミックス又はM&Eミックスの場合は48k/24bitであること。ステム及びミックスマスターに適用される。
第二言語や解説音声は48k/16bit 若しくは 24bitであること。
オーディオはプロジェクトのネイティブフレームレートの映像に同期して収録されていること。すべてのオーディオは最終のIMF/ProRes納品に同期すること。
5.1コンフォームオーディオが作成されていない場合、ステレオオーディオを許容する(作品のオリジナルソースがモノラルで、ステレオや5.1ミックスが存在しない場合はモノラルオーディオを許容する。モノラルオーディオはチャンネル1&2に複製し、2チャンネルで納品すること)。
1.1 ニアフィールド 5.1サラウンドミックス - オリジナル版、吹き替えミックス、解説音声
- 79db spl 又は 82db splをミキシングの標準リファレンスレベルとすること
- ITU-R BS.1770-1を使用してプログラム全体で計測し、ダイアログベースで -27 LKFS (+/- 2 LKFS)になること
- -20 dbfsリファレンス上でミックスレベルを下げずにピークを制限し、+18db (-2 dbfs) 最大レベル(トゥルーピーク)を維持すること
- 5.1ダイアログ、ミュージック、エフェクトステムは、合わせたときに5.1ミックスと等しくなるようにすること
1.2 ニアフィールド 2.0ステレオミックス - オリジナル版、吹き替えミックス、解説音声
- 79db spl 又は 82db splをミキシングの標準リファレンスレベルとすること
- 別個のLo/Ro 又は LT/RTミックスは、ITU-R BS.1770-1を使用してプログラム全体で計測し、ダイアログベースで-27 LKFS (+/- 2 LKFS)になるよう提供すること
- Lo/Roミックスを推奨
- Lo/Ro 又は LT/RTミックスはモノラル対応であること
- -20 dbfsリファレンス上でミックスレベルを下げずにピークを制限し、+18db (-2 dbfs) 最大レベル(トゥルーピーク)を維持すること
- 5.1をダウンミックスしてLo/Ro 又は LT/RT 2.0ミックスを作成する場合:
- 低域効果音(LFE)のチャンネルを左及び右チャンネルの双方にフォールドダウンする
- LFEへのローパスフィルターは200Hz以下にする
- センターチャンネルのコンテンツは-3dbほど下げる
- センターチャンネルのコンテンツは左及び右チャンネルの双方に入れる
- サラウンドチャンネルのコンテンツは少なくとも-3dbほど下げる
- 左と右のサラウンドチャンネルを対応する左と右のチャンネルにフォールドダウンする
- オプションで、低域効果音(LFE)のチャンネルを-12dbで含む
- フォールドダウンの前に個別の5.1チャンネルであらゆる調整を行うこと
注: 最終的な2.0ミックスは、音声アーティファクトがないことを納品前に確認すること。アーティファクトを防止するため、Netflixが必要とする場合はさらなる調整を加えること。
1.3 ニアフィールド 5.1サラウンドM&Eミックス
- 48kHz/24-bit
- 音楽と効果音のみが含まれた(ダイアログを除く)完全な5.1サラウンドミックスを別に提供すること
- オリジナルミックスと一致するよう、ルームトーンやフォーリーで足りない部分は埋めること。メインのミックスに含まれるダイアログ以外のあらゆる音はM&Eミックスにも含まれていること
- 後日新たに吹替言語を作成する際のミックスを容易にするため、全てのレベルは最終マスタリングやアーカイブで使われたものを反映すること
- M&Eを作成するミキサーは、Netflixがヘルプセンター上に提供するM&E作成ガイドラインを参照すること:
1.4 ニアフィールド 2.0ステレオM&Eミックス
- 48kHz/24-bit以上
- 音楽と効果音のみが含まれた(ダイアログを除く)完全な2.0ステレオミックスを別に提供すること
- オリジナルミックスと一致するよう、ルームトーンやフォーリーで足りない部分は埋めること。メインのミックスに含まれるダイアログ以外のあらゆる音はM&Eミックスにも含まれていること
- センターチャンネルのコンテンツはLoRo又はLT/RTのデフォルト設定として3db低減すること
- 後日新たに吹替言語を作成する際のミックスを容易にするため、全てのレベルは最終マスタリングやアーカイブで使われたものを反映すること
- M&Eを作成するミキサーは、Netflixがヘルプセンター上に提供するM&E作成ガイドラインを参照すること:
1.5 ニアフィールドアトモスミックス
ドルビーアトモス ホームミックスは以下の要件に適うこと。
- 最低でも7.1.4対応の部屋でミックスすること
- ニアフィールドミックスであること。ニアフィールドミックスの一般的なモニタリングレベルは79db または 82dbである
- ラウドネスをNetflix仕様に合わせること(ダイアログベース-27db LKFS +/- 2 LU 1770-1)
- ピークが-2dbfsトゥルーピークを越えないこと。そのためには、すべてのベッドとオブジェクトのトゥルーピークリミッターを-2.3以下に設定することを推奨する。ラウドネス及びピークは派生物の5.1経由で計測すること
- ネイティブのアトモスミックスには、ドルビーアトモスレンダラーから出力された5.1と2.0の”非”アトモスミックスの承認も得ていること。Netflixオリジナル作品納品仕様書 v3.1 又は Netflix ドルビーアトモスホームミックス納品要件 v1.9を参照のこと
- 全てのベッドとオブジェクトがエンコードされていて常に可聴であること。プリントマスターは全てのベッド素材のコンポジット、または複数のベッドを使用して構わないが、両方は利用できない
- 85db がリファレンスとなる劇場用ミックスを作成した場合は、劇場用とニアフィールドの両方が納品物として必要となる
- 全ての納品物は単一のファイルとして(リールごとではなく)、最終的なIMFの映像にコンフォームし、同期がとれていること。リーダー及び同期用の音は削除すること。ファイルはFFOAから開始すること
1.5.1 配信用
- 最終版のホームシアタープリントマスター
- Dolby Atmos BWAV ADMファイル
- 単一、若しくは複数のLCR, 5.0, 5.1, 7.1 又は 7.1.2ベッド
- トラック11-128はオブジェクトやベッド用に使用可能
- 48 kHz, 24 bit
- Dolby Atmos BWAV ADMファイル
- ナレーションなしのミックス(該当する場合)
- Dolby Atmos BWAV ADMファイル
- 単一、もしくは複数のLCR, 5.0, 5.1, 7.1 又は 7.1.2ベッド
- トラック 11-128はオブジェクトやベッド用に使用可能
- 48 kHz, 24 bit
- Dolby Atmos BWAV ADMファイル
1.5.2 ローカリゼーション用
- M&Eミックス(音楽&効果音)
- Dolby Atmos BWAV ADMファイル
- 単一、もしくは複数のLCR, 5.0, 5.1, 7.1 又は 7.1.2ベッド
- トラック11-128はオブジェクトやベッド用に使用可能
- M&E オプションステムは別のWavファイルとして用意
- チャンネルマッピングはM&Eミックスのベッドと一致すること
- 48 kHz, 24 bit
- Dolby Atmos BWAV ADMファイル
- 会話、音楽、効果音、ナレーションステム (PMがコンポジットではなくDMEベッドを使用している場合は不要)
- Dolby Atmos BWAV ADMファイル
- 最低3つのベッドを含むこと
- トラック11-128はオブジェクトやベッド用に使用可能
- 48 kHz, 24 bit
- Dolby Atmos BWAV ADMファイル
1.5.3 アーカイブ用
- 全ての納品物は単一のファイルとして最終的な映像にコンフォームし、同期がとれていること
- 最終的なホームシアター版プリントマスターDAMF (Dolby Atmos Master File)
- DAMFファイルの構成:
- .atmos ファイル
- .audio ファイル
- .metadata ファイル
- DAMFファイルの構成:
- トラックはグループ分けされ、会話、音楽、効果音ステムに対して関連付けされていること
- 単一、もしくは複数のLCR, 5.0, 5.1, 7.1 又は 7.1.2ベッド
- M&E DAMF (Dolby Atmos Master File) (該当する場合)
- DAMFファイルの構成:
- .atmos ファイル
- .audio ファイル
- .metadata ファイル
- DAMFファイルの構成:
- トラックはグループ分けされ、会話、音楽、効果音ステムに対して関連付けされていること
- 単一、もしくは複数のLCR, 5.0, 5.1, 7.1 又は 7.1.2ベッド
- ナレーションなしミックスのDAMF (Dolby Atmos Master File) (該当する場合)
- DAMFファイルの構成:
- .atmos ファイル
- .audio ファイル
- .metadata ファイル
- トラックはグループ分けされ、会話、音楽、効果音ステムに対して関連付けされていること
- 単一、もしくは複数のLCR, 5.0, 5.1, 7.1 又は 7.1.2ベッド
- Pro Tools アトモスフルミックスセッション(必要な場合)
- DCPに使用された劇場版ドルビーアトモスMXF
2.0 劇場版ミックス - マスタリング&アーカイブ
- 劇場版ミックスは以下の2点以外は上記に示したニアフィールドの仕様に従うこと:
- ミックスの標準リファレンスレベルとして 85db spl を使用すること
- 劇場版ミックスにはLKFSラウドネス要件はないため、0dbトゥルーピークをピークとしてもかまわない
- 劇場スペックでの会話、音楽、効果音ステムを提供すること
3 実践ガイド
注: 以下は技術的な仕様ではありません。最適なユーザー体験を作り出すためのガイドです。以下のガイドラインは推奨事項であり、必ずしも従う必要はありません。
3.1 ダイアログベースのラウドネス及びラウドネス範囲
Netflixはクリエイティブの意図を守ることに最大限の努力を投じており、オーディオミックスに対して圧縮、制限、修正は行いません。但し、あまりダイナミックレンジが広すぎないコンテンツのほうがユーザー体験はより良いものになります。
最良の結果を得るためには、ダイアログベースのメーターで計測し、平均のダイアログレベルを-27 LKFSをターゲットにしつつ、-25 LKFS から-29 LKFSにすることです。Dolby Media MeterやNuGEN Vis-LMを1770-1 dialog-gatedに設定してお使いください。
次のラウドネス範囲(LRA)の値がサービス上で最もよく聞こえます:
- 5.1 プログラムの LRAは4から20 LUであること
- 2.0 プログラムのLRAは4から18 LUであること
- 会話のLRAは7 LU以下であること
- FXコンテンツと会話の差は4 LUであること
ミックスが15%以下のダイアログと計測した場合は、代わりにプログラムベースの計測を使用しても構いません(-24 LKFS +/- 2 LU - ITU BS 1770-3)
3.2 ピーク
トゥルーピークのリミッターを全てのオーディオ納品物に対して-2.3に設定することを推奨します。5.1 / 2.0においては、メーター上の些細な相違から誤検出することを避けることができます。アトモスのベッドやオブジェクトにおいては、アトモスレンダラー内の加算要因により、このセッティングは過剰なピークを低減します。
3.3 部屋の設定
リビングルーム程度の大きさの部屋でニアフィールドミックスをすることを推奨します。それよりも大きな部屋や小さな部屋でも、正しく設計、調整されている部屋であれば問題ありません。複数のマイクを使用することで部屋の調整を平均化します。アトモスの部屋は少なくとも7.1.4でなければなりません。設備の調整においてサポートが必要であれば、ドルビーのエンジニアが協力します。
4.0 変更履歴
Change Log OC-1-0 (2018-07-26)
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