概要
Netflix作品において、メタデータは次の2つのいずれかの形式で納品できます。
- 個別のXMLメタデータファイル
- IMFパッケージのビデオMXFに埋め込み - 次の2つの方法で表示可能です。
- 対応ソフトウェアでクリップインスペクタを使う (例: Colorfront TransKoder)
- ドルビーCMオフラインツールを使ってメタデータを抽出する
重要な値
レベル1 (画像解析) - すべてのショットに必要
- ドルビーの解析値を基にデフォルトのカラーマッピングが適用されます。
レベル2 “TID” (SDRトリムパスの値) - 必ずしもすべてのショットに必要ではない
- 制作担当がシーン単位で追加のカラー調整が必要と判断した場合のみ、追加します。
QCで頻繁にみられるエラー
ソフトウェアのバージョンによる制約:
問題: ソフトウェアのバージョンによっては、SDRパス作成に使用するメタデータを入力できません。あるいは、IMFパッケージ内のMXFに埋め込まれたメタデータを読み込んで表示することができません。
例: Colorfrontの最新バージョンは、 Clipsterの一部のバージョンで作成したIMFパッケージでは、クリップインスペクタでドルビービジョンのメタデータを利用したり、表示したりすることができません。
ベストプラクティス: ドルビービジョンメタデータを検査するには、Dolby社のMetafier検証ツールを使ってXML形式で抽出し、抽出したファイルをご利用のテキストエディタで開きます。Dolby社のMetafier検証ツールで.xmlファイルを検証することができます。
画像解析の値:
問題: 黒フレームではないショットに対して、メタデータ値 (画像解析値) が"0,0,0"になっています。これはHDRメタデータの作成時にショットが適切に分析されていないことを示します。これらのショットにはカラーマッピングが適用されていないため、大部分のデバイスではHDRとSDRのどちらでも同じように表示されます。デバイスによっては"0,0,0"の値を画像表示せず、黒フレームと解釈します。
例: LG G6モニター、Vizio Mシリーズのモニター、TCLモニター
ベストプラクティス: 抽出したドルビービジョンメタデータで、対象ショットの値をチェックする、あるいは"0,0,0"の値を検索するといった方法で、手動で直接メタデータを参照し問題を確認することができます。すべてのショットを解析する必要があり、この問題は必ず修正が必要です。
カラーマッピングやタイミングのエラー:
問題: メタデータ上での尺とビデオのカット点が一致しないため、SDRビデオのショットの途中で色や輝度のタイミングのずれ (シフト) が起こっています。
ベストプラクティス: QCの前に、メタデータを抽出しDolby社のMetafier検証ツールを使って、カット点のずれがあるかを検証します。また、対応ソフトウェアのクリップインスペクタを使って、カットと合っていないメタデータ値の変化をチェックします。この問題は必ず修正が必要です。
キャンバスと画像のアスペクト比の設定:
問題: この2つの値の一方または両方の設定が正しくない場合、コンテンツマッピングが画像に正しく適用されません。また、正のリフト値がトリムパスで使用されると、ドルビービジョンメタデータから派生するSDR出力で見られる、レターボックス形式コンテンツのマットに黒レベルの浮きやシフトが生じることがあります。有効な画像領域がメタデータの指定より大きい場合、SDR出力した時に、コンテンツマッピングが未適用の画像に"半透明"のバーとして表示されます。
ベストプラクティス: ドルビービジョン解析し、メタデータを作成する時に、[CanvasAspectRatio]にフレームのアスペクト比を必ず設定してください (負でない小数で表記)。
- フル4K (4096x2160) で納品する場合 - 必ず1.89630に設定
- UHD (3840x2160) やHD (1920x1080) で納品する場合 - 必ず1.77778に設定
[ImageAspectRatio]に、マットを除き、フレーム内にある有効な画像のアスペクト比が設定されていることを確認します (負でない小数で表記)。アスペクト比が連続する小数である場合、ピクセル単位での精度を担保するためには、小数点以下最大5桁での入力が必要です。アスペクト比が整数または有限小数の場合は、小数点以下1桁~5桁の精度で、値に応じた小数点以下の桁数で表記することができます。
- 作品を2:1で納品する場合 - 2.0、2.00、2.00000のいずれかを設定
- 作品をフルフレームで納品する場合 - キャンバスのアスペクト比に一致させる
これらの設定の一方または両方が、納品するビデオトラックに一致しない場合は、必ず修正が必要です。
注記補足: 制作意図により、有効な画像のアスペクト比が複数設定されている場合は、[ImageAspectRatio]に有効な画像のアスペクト比の最大値を設定します。その後、この最大画像アスペクト比に当てはまらないショットに対して、レベル5の動的アスペクト比のメタデータ値を追加します。
- 現在のところ、Filmlight Baselightはレベル5の動的アスペクト比のメタデータをサポートしていません。Baselightで仕上げた作品については、暫定的な対応として[ImageAspectRatio]に有効な画像のアスペクト比の最大値を設定してください。そのうえで、トリムパスで正のリフト値を使用しないようする事で、SDR出力した時に、全体のアスペクト比とは異なるショットでマットに黒レベルのシフトや浮きが生じないようにします。
QCパートナー向け: ドルビービジョンメタデータのキャンバスと画像両方のアスペクト比の設定が、ビデオトラックのフル解像度や有効な画像のアスペクト比と正確に一致することを必ず確認してください。HDRやSDRエンコードストリームのみが提供されるキャストQC時、メタデータを検証できない場合、これらの設定の不備を示唆する映像エラーに注意してください。SDRストリームでのみマットに黒レベルのシフトや浮きが確認できる場合は、キャンバスや画像のアスペクト比の設定に問題がある可能性があります。また、HDRカラーがマッピングされないSDRストリームで、画像の上下または左右に"半透明の"バーが見られる場合も、これらの設定に潜在的な問題があることを示します。